
日中の病院では予防医療や慢性疾患のフォローアップが中心になる一方で、夜間には突然の体調悪化や緊急度の高い症例が多く集まります。そうした“緊急の現場”でこそ、自分がまだ経験していない領域の診療に触れられるのではないかと感じていました。
獣医療を深めていくうえで、救急時の判断力や状況に応じたスピーディな対応は欠かせないスキルだと思っています。たとえば、限られた情報の中で何を優先的に進めるべきか、治療方針をどの順で組み立てるのか。そういった力は、緊急症例に多く触れなければ身につきません。
非常勤という形でも、夜間救急の現場で働くことで診療の幅が広がり、自分のスキルアップにつながると確信し、あえてこの働き方を選びました。
熊谷夜間救急動物病院は、初めて関わる人でも驚くほど馴染みやすい職場です。獣医師・看護師ともにコミュニケーションが取りやすく、「分からないことはすぐ聞いてほしい」という空気が自然と出来上がっています。
診療中は皆が真剣で、必要な情報共有もスピーディに行われ、非常に働きやすい連携体制が整っています。一方で、休憩中や合間にはリラックスした雑談が交わされ、オンとオフの切り替えがしっかりしている点もこの病院の良さだと感じます。
新しい環境に不安を抱えている獣医師にとっても、安心して入りやすい雰囲気がある職場だと思います。
夜間救急では、短い時間で状況を理解し、的確に優先順位をつける力が特に重要です。
たとえば、呼吸が安定していない動物と明らかな出血がある動物が同時に来院した場合、どちらを先に診るべきか、どの処置を優先すべきかを数秒以内に判断しなければなりません。その判断が動物の予後を大きく左右します。
また、緊急時は飼い主様も深い不安を抱えて来院されるため、冷静な態度で状況を伝え、今必要な対応を明確に説明する力も求められます。焦りを感じるような場面でも、自分自身の感情に流されず、現場全体を俯瞰しながら動ける視野の広さが欠かせません。
こうした力は、通常の診療ではなかなか鍛えられない部分ですが、夜間救急では一つひとつの症例が学びになり、獣医師として成長し続けられると実感しています。